プロテインにも問題があることがある

プロテインにも問題があることがある

以下、私の書籍寄りの抜粋です。

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◆コラム2:プロテインも諸刃の剣である

 

プロテインの摂取が栄養療法業界で流行っている。が、これもまた諸刃の剣であり、安易なプロテイン摂取は危険である。

プロテインは文字通り食品中のタンパク質のみが”人工的に”濃縮されたパウダーである。だから、通常であれば、お腹いっぱい食べなければ摂取できないようなタンパク質量をプロテインパウダーだけで容易に摂取出来てしまう。

その大量のタンパク質を胃腸、肝臓、腎臓は消化・吸収・代謝しようとする。そうなると、想像以上に負担がかかりやすい。しかし、タンパク質の消化・吸収・代謝には胃腸それから肝臓(肝臓はタンパク質の代謝を担っている)や腎臓が他の栄養素の分解・吸収以上に最も酷使される。だから、負担が大きいのである。

この状態で、サプリメントのメガドーズ(メガドーズとまでいわなくても、例:ナイアシンアミドの高用量摂取)などをしたら体を壊しやすいのは誰にでもわかる話であると思う。だからこそ、この問題をあえてこの場で説いているのである。

また、プロテイン製品は、その製造工程で不純物(鉛やカドミウム、ヒ素などの有害重金属、化学物質(PFAS))が混入している公算がある[1] [2]という問題、加えて、プロテインの元となる食品(牛肉、豚肉、乳製品)の汚染の問題など、かなり深刻な問題を多数抱えている。

それから、人工甘味料や添加物の問題もほとんどのプロテイン(国内の製品は90%以上、海外の製品は50%程度)は抱えている。

そういったモノを1日に何度も何度も繰り返し、大量摂取していると体にかなりの負担をかけることがままある。(しかも、有害重金属の蓄積は最大限に警戒しないといけない)
だから、私は「プロテインは1日1回に限定するべきである」と推奨している。

このプロテインについての問題点や賢い付き合い方については、本書後半部にある「よくある質問」の項目に問題の詳細や対処法を書いていく。

 

プロテインではなく、サプリメントについてはどうなのかというと、不純物が製造工程で混入されることはある。しかし、プロテイン製品と比較するとマシなのである。

なぜなら、ビタミンやアミノ酸サプリメントはプロテインと比較すると分解・精製の過程が多い。対して、プロテインはビタミンやアミノ酸サプリメントと比べると分解・精製の過程が圧倒的に少ない。プロテインはアミノ酸に分解・精製される以前の状態なので、ビタミンだとかアミノ酸のサプリメントと比べると分解・精製の回数がそもそも少ないのである。

一般論として、分解・精製の回数が少ないほど汚染物質(有害重金属、化学物質等)は残存しやすくなる。

(さらには市場に流通させることができないような劣悪な動植物のタンパク質が使用されている懸念があり、プロテインパウダーと称して市場に還元、出回る傾向すらあるのである。

私は日本の食肉業界に知り合いがいるのだが、その情報筋の話を聞くと、あまりにも酷い惨状に驚かされる。

これは犬や猫用のドッグフードだとかキャットフードに汚染された牛、豚の肉が使用されやすいのと同様の話である。飼い犬や飼い猫が病気を発症する原因はこれがファクターのひとつであろう)

 

例えば、2018年にクリーンラベルプロジェクトが実施した調査[3]では、以下のような結果が出ている。
(この団体は同調査で発表したレポートが査読されていないことから、プロテイン業界やその関連団体から批判を浴びたが、こうした事実は我々消費者は参考までに「そうした可能性もありうる」と頭の片隅に入れておくと良いと思い、今回紹介する)

この事例(=リスク)については、2022年にもハーバード大学も報じている[4]。名門大学も報じていることからもわかるように、クリーンラベルプロジェクトの研究はいい加減なモノなどではないわけである。

 

 

プロテインパウダーの警告

 

2018年、クリーンラベルプロジェクトによって実施された調査では、多くのブランドのプロテインパウダーに警戒すべき化合物が含まれていることが分かった。製品は第三者の分析化学研究所で検査された。製品は動物由来、ホエイ由来、植物由来であった。その後、製品に1つ星、3つ星、5つ星の評価が付けられた。

 

プロテインパウダーの評価は、同社サイトで視認することが可能である。パウダーの約70%に鉛、74%にカドミウム、55%にホルモンかく乱物質の BPAが含まれていることがわかったのである。その他のパウダーには、別の有害重金属であるヒ素が含まれていた。

 

カドミウムは極めて有害な重金属である。心臓血管系に影響を及ぼし、子宮内で発育中の胎児に影響を与え、消化器、神経、腎臓、呼吸器に問題を引き起こす。人体に対する発がん性物質として知られている。

 

鉛も、健康に深刻な影響を及ぼす有害重金属だ。この化合物は、特に子供にとって危険である。その理由は、子供の体は大人よりも多くの金属を吸収するからだ。子供の血液中の鉛は、IQの低下、多動、成長の遅れ、行動や学習の問題を引き起こす可能性が数々の研究によって指摘されている。鉛は時間の経過とともに体内に蓄積されていく。また、心血管系の問題、腎機能低下、生殖の問題を引き起こすことも知られている。

 

BPA(ビスフェノールA)はホルモンをかく乱する物質だ。いくつかの研究では、BPAが脳に影響を及ぼし、高血圧を引き起こし、先天異常を惹起する可能性があることが示されている。(もっともFDAは、BPAはごく低レベルであれば安全であると述べてはいる。が、あるプロテインパウダーでは、許容量の25倍のBPAが検出された)

 

ヒ素はガンや発達障害と関連がある重金属である。この研究では、検出されたヒ素が有機ヒ素か無機ヒ素かは明らかにされてはいない。無機ヒ素はヒトに対する発がん性物質として知られている。

 

科学者たちは、テストされた製品のうち、卵ベースのプロテインパウダーは植物ベースの製品よりも安全性が高いことを発見した。そして、オーガニック製品を購入しても役に立たないと発表している。

認定された「オーガニック」プロテインパウダーには、テストされた非オーガニック製品と比較すると2倍以上の有害重金属が含まれていたのである。研究によると、植物ベースのプロテインパウダーは最も悪い結果を示現した。

このような経緯があるので、プロテインの”過剰摂取”は推奨できないと、既述の肝臓や腎臓への負担の件も含め、私は主張する。

プロテインは、せいぜい1日1回程度に留めるのがスマートな方策である。(パウダー形式で数十g単位で摂取する場合、もし汚染がある場合、大量の有害重金属や化学物質を体内に取り込むことになってしまう。この害はカプセルやタブレット錠の比ではない)

しかも、プロテインは製品の製造工程の特性上(≒特性というよりも分解・精製過程が少ない)、ビタミンやミネラル、アミノ酸サプリメントと比較すると、一般論として、どうしても不純物が含入されやすいのである。

(プロテインは、ビタミンやアミノ酸のサプリメント等と比べると分解・精製の回数が少なくなる傾向にあるためである。一般論となるが、製造工程におき分解・精製過程が多いほど、汚染物質もその都度、一緒に除去される公算は大きくなる。これはよく考えれば誰でもわかるはずのことだろう)

脅しているわけではないのだが、このようなリスクが実際に存在する可能性がある(報告されている)ということは知っておいた方が良いだろう。

(ただし、例外も存在する。例えばビタミン、ミネラルの中ではカルシウムがこのリスクが特に大きいことが知られている。カルシウムは製造工程でどうしても鉛が含まれやすい。だから、サプリメントに詳しい人間はサプリメントとしてのカルシウム摂取は避けたり、品質が保証された(検査が十分に施された)高価な製品を選定したりする)

ちなみに、最も安全性が高いプロテインパウダーの形態は、ホエイプロテインである。(注:これはあくまでも減算式の選定である)
この形態にしても過剰摂取は避け、食事(なるべくオーガニック)からのタンパク質摂取を基本とすることが最重要であろう。

 

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[1] “What’s in your protein powders?”
https://www.ehn.org/contaminated-protein-powder-2669073022.html

[2] “Watchdog group finds hidden toxins in protein powders like Lead, Arsenic, and BPA”

[3] “Protein powder our point of view”
https://cleanlabelproject.org/wp-content/uploads/download-9-converted.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=WaTngxBIHto&t=6s&ab_channel=CleanLabelProject

 

[4] “The hidden dangers of protein powders”

They may contain added sugar, calories, or even toxic chemicals.

https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/the-hidden-dangers-of-protein-powders

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