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パニック障害の原因は母親なのか?【考察】

(最終更新日:2020/12/29)

パニック障害の原因は母親だとよく言われています。確かに母親が特に幼少期の子供の性格に与える影響は甚大です。
今回は、パニック障害の原因は母親にあるのかどうかについて考察していきます。

パニック障害とは?

パニック障害とは、不安障害の一種で、特定の状況に強烈な不安や恐怖(予期不安)を覚え、それに伴う形で動悸、発汗、振戦、過呼吸といったパニック発作が起きる状態を指します。

パニック障害になるとスムーズな社会生活が送れなくなり、当事者の人生に支障が出る場合が少なくありません。

パニック障害の原因は母親という説についての考察:

遺伝要因的考察:

そもそもパニック障害は、遺伝します。子供は母親、父親から遺伝情報を半分ずつ、受け渡され、この世に生を受けます。

親のうちの片方がパニック障害を持っていた場合、子供は一定の確率で、同じようになる可能性が高くなります。

 

そういう意味では、パニック障害の原因は母親であるという説は正しいと言えます。

 

しかしながら、こういうと、パニック障害の原因は父親にもあるとも当然いえるわけです。

このような見方をすれば、
”もともと両親に遺伝学的なパニック障害発症の原因があったと見ることができるので、パニック障害の原因は母親だけに限らず、父親すなわち両親にもある”と言えます。

環境要因的考察:

小さな子供が親から受ける影響は甚大で、親の洗脳を幼少期であればあるほどヒトは受けやすくなります。
(幼児にとって親はある意味、独裁者のようなものです)

特に子供と過ごす時間の長い母親の影響が強くなるでしょう。

まだ未完成で、それゆえ分別の付かない状態の脳ほど環境からの影響を受けやすくなります。
このことは、幼少期に宗教の洗礼を受けた子供が「その宗教のハードコアな原理主義的信奉者になりやすい」ということを考えればよく理解できると思います。

だから、幼少期に親から虐待やネグレクト、言葉の暴力を常時受けたりすると、後年、精神状態に変調をきたし、ストレスに弱くなったり、しまいにはパニック障害になってしまう可能性も当然高くなります。

とにもかくにも幼少期ほど親や家庭からの影響が濃厚に子供に対して出てしまうのです。

この時、母親がノイローゼ状態にあったりする場合、それは子供にミラーニューロン※の働きによって”伝染”しますから、パニック障害になる将来の火種を子供に植え付けることになってしまう場合も十分考えられます。

※ミラーニューロンとは、脳機能に備わったフィードバックシステムの一種で、例えば小さな子供の脳は、目前に移っている親の行動、言動、態度、気分等を脳内で模倣しており、これはミラーニューロンの作用によるものです。
”爆笑している人を見ると、なんだか自分も可笑しくなって笑いたくなるのはこのミラーニューロンの働きによるもの”ですし、
”怒り狂っている人と一緒にいると何だか自分もイライラしてくるのは同作用の結果”なのです。

パニック障害の原因は母親だとばかりは言えない

他の記事でも述べているように、過去の私はパニック障害がありました。
この時、母親が悪いとずっと怒りながら主張していました。
散々、親を責めていたと思います。

 

しかしながら、海外で外国人と一緒に生活する中、環境要因うんぬんよりも、遺伝要因うんぬんの大きさを痛感しました。
というのも、なぜだが、外国人は異様に明るい人が多く、「まず日本人にはいないような性格の人が少なくなかったから」です。

 

そもそも遺伝の違いによって、外国人は日本人と外見が違います。

同様に、性格特性もまたそれと同じくらい違っていて当然だと考えられるわけです。

これと同じことが、同じ日本人同士の間にも言えるのではないかと思ったものです。

遺伝要因の大きさについて:

つまり、パニック障害になりやすい繊細な気質(神経症的気質)を持った親から生まれた子供はパニック障害になりやすいということです。

これは同じ人種間であっても

■「背が高いとか低い」
■「性格が明るいとか暗い」

とか、そういう差異が各々個人間の遺伝情報の差異によって存在することを考えれば、やはりわかりやすいことだといえます。

特にメンタル的なモノは目に見えないのであまり遺伝がどうだとかとは言われづらいのですが、遺伝の影響は大きいわけです。
(環境要因と遺伝要因は相互作用しますが、そもそも遺伝的要素が一切なければ、発症することもないので、遺伝要因の方が重要視されて然るべきでしょう。)

私が母親のせいにするのをやめた理由:

これは、パニック障害※が改善されていくにつれて自然となくなっていきました。誰が悪いとか言ってみても何も始まらないですし、「親には親の事情があったのだ」ということに、心に余裕が生じるにつれて、何をするでなく自然と認識できるようになったからでありました。

(※過去の私にはパニック障害の他に、その他各種神経症がありましたが、このブログはパニック障害についてのものなので比喩でそのように書いています)

母親に「ああだこうだ」いうのも止めました。

というのも、そもそもそんなに親が気にくわないのであれば、家を出て自分で生活すればいいだけの話だったわけでした。18歳を過ぎた良い大人だったのですから。

このとき、親に文句があるのであれば、即座に家を出るべきだという至極当然な考えが自然と生じてきたわけでした。これは努力してそういう思考になったというわけではありません。
理由については、下記の段落をお読みください。

脳の機能がパニック障害を産む

パニック障害の原因は脳の機能です。いわゆるパニック障害の症状が生じるのは、脳の機能が「パニック障害脳」になっているからです。
「パニック障害脳」とは、脳内の興奮系神経伝達物質(ノルアドレナリン、ドーパミン、グルタミン酸)が過剰になり、逆に鎮静系神経伝達物質(GABA)が過小になっている状態をいいます。

この状態が解消されていくと、心がリラックスしていき、次第と「自分という捉われ」から自然と脱却していくことが可能になります。

「自分への捉われ」とは、「自分は悲劇のヒロイン、ヒーローだ、死んだ方がマシだ、社会が悪い、親が悪いというような思考」を主に指します。

脳の機能が正常化されることで心に余裕が生まれるためです。

こうなると母親のせいでパニック障害になったという見解も最早当事者の方には出てこなくなっているはずです。
(余程酷い家庭であった場合は例外だとは思います)

例えば、乙武洋匡さんは心に余裕があるので、障害者になったのは親が悪いということを一言も話していません。彼自身正直半端ではないほどのストレスをその人生、受けてきたはずです。

しかし、心に余裕があるので、そういう誰それが悪いというような他責傾向にはならないのだと考えられます。異常なほどストレスに強い脳を持っているのではないかと推定できます。

コラム:パニック障害を克服するとどうなる?

〇母親のせいでこうなったという思考が自然と消滅していきます。
〇社会や他人が悪いという他責思考が消滅していきます。
〇パニック発作や予期不安がそもそも起こらなくなっていきます。
〇嫌な出来事も考えも自然と流せるようになり、より迅速に忘れていくようになります。

このようなベネフィットがパニック障害を克服するとあるわけです。
パニック障害の克服方法についての記事は下記のリンクをクリックしてお読みになられてみてください。

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(関連記事:)
パニック障害を自力で克服【まとめ】

まとめ

パニック障害の原因は確かに遺伝学的に見れば母親にあると言えます。しかしながら、そう言うのであれば、父親にも責任はあるという話になります。
パニック障害をはじめとする神経症やメンタルヘルスの問題の遺伝率は一般に高いとされています。

これは子供は親に顔や性格が似るということを先の遺伝の話を考えれば一目瞭然になります。

また、環境要因、育て方に問題がある場合も、もちろんあります。

要するに、パニック障害の素因を持った人が、パニック障害になるような育てられ方をするから、パニック障害になっているというような場合もあります。

そして、生まれつきの「パニック障害脳」のような状態を抱えたより症状の厳しい過去の私のようなケースの場合、まともに親から育てられても、成人後、パニック障害を発症する可能性は十分にあります。

非常に人格者で優秀な親に育てられても、神経症になる人はなることが実際に一卵性双生児研究等で判明している事実ですし、虐待されても健全でひねくれたところもない真人間に育つ場合もあります。(無論、例外も存在します)

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