パニック障害は考え方を変えるだけでは克服できない

(最終更新日:2020/12/29)

パニック障害は考え方を変えるだけでは克服できない

(概要:)
よく勘違いされている方がいるのですが、
パニック障害は考え方の問題では実はありません。
しかし、パニック障害を克服するには考え方を変えなければいけない」と思い込んでいる人が少なくないようです。

これは一昔前、90年代から流行しだしたポジティブシンキング理論という自己啓発系によく出てくる概念が未だに現代人を支配していることが原因だと思われます。

パニック障害は考え方の問題ではないという真実

つまり、このポジティブシンキングの理論は以下の通りです。

すなわち、それは

〇ポジティブな人はポジティブな考え方を習慣化したのでポジティブになる
〇ネガティブな人はネガティブな思考を習慣化したため、ネガティブである


という単純明快すぎる概念です。

しかし、これは完全に間違いです。


↑私が心の病は考え方の習慣の問題ではないということについて説明しています。

脳科学の進展により判明したこと

脳科学的にみて、パニック障害をはじめとする心の病は考え方の習慣の問題ではなく、脳の機能の問題であるという事実を否定する学者は今現在ではさすがにほとんど存在しないでしょう。

これは「脳の機能が考え方や性格を産んでいる」という脳科学の分野が進展したことに依拠します。

お酒を飲むとなぜ暗い人が明るくなるのか?

このことは、たとえばですが、暗い神経質な人がお酒を飲むと明るく陽気で饒舌(じょうぜつ)になったりすることを考えれば良く理解できる現象なのです。

パニック発作がベンゾジアゼピン系抗不安薬を飲むと収まるのも同じ理由からです。

前者ではアルコールが脳内のGABA受容体の感度を高めるために起きる現象でそうすると、受容体間で使用できるGABAの量が増えるので、精神的にリラックスします。後者は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が脳に入り、GABA-a受容体に存在するベンゾジアゼピン受容体に作用することで、GABA濃度が上昇るために起きる脳科学的な現象です。

パニック障害を克服するのに考え方の修正や精神論は必要ない

したがって、パニック障害を克服するのに考え方や認知方法を修正すればいいという意見は間違いなのです。

 


脳→考え方、思考、認知(〇)

であり、
考え方、思考、認知→脳(✖)

 

という後者の流れはまずありえないと考えていただいて差し支えありません。

 

パニック障害の原因と真実ーパニック障害の克服に考え方は不要ー

パニック障害の原因を具体的にざっくり説明しますと、


✅パニック障害になりやすい脳を持っているから

パニック発作、予期不安が起きるのであって、
パニック障害になりやすいようなネガティブな考え方ばかりをして、それを習慣化しているからパニック障害になっているのでは一切ない!

 

ということです。

結構、ここのところは勘違いしている人が多いですので
パニック障害をより短期で克服するためにもその誤謬(ごびゅう)は正しておいた方が身のためでしょう。

(参照:)※英語
(http://depressiongenetics.stanford.edu/mddandgenes.html)

認知療法や認知行動療法の終焉

認知療法や認知行動療法は
精神疾患に実際問題、ほとんど有効ではありません。

パニック障害や他の精神疾患(統合失調症は除く)に対して有効なものは
運動や瞑想、サプリメントの摂取であり、そして薬物療法です。
何故かというと、これらの克服法は、脳の機能に直接介入することができるからです。

努力逆転の法則について:

努力逆転の法則というものがあります。それは何かと説明しますと、
良い考え方の癖をつけようと、気張ってポジティブシンキングしたり、
不安をかき消そうとしてみると、逆に不安が強くなったり、心理的に気張った分、過度に心身が疲弊してしまうことになることを指します。

これは、「宝箱を絶対に開けるな!」といわれると
逆に「余計に開けたくなる」心理とこれは同じ話です。

 

 


「ポジティブな考え方をしよう!」と頑張り気張ると、

逆にネガティブな思考が心に浮かんできやすくなるわけです。

 

 

これはよく心理学の分野では、「努力逆転の法則」と呼ばれているものです。

パニック障害は考え方の問題ではなく、パニック障害の克服に考え方の修正は一切不要である

したがって、パニック障害を考え方の問題で片付けようとすればするほど、

パニック障害の症状は悪化する傾向にあるというわけです。

これはつまり、心を無理にポジティブにしようとしたりして気張ると逆に悪化するということです。
パニック障害を克服したい人は、ポジティブシンキングですとか認知療法のようなものを受けない方が回復は確実に早いです。

たとえば、肉体の状態を変えれば、ポジティブに誰でもすぐなります。その一つの方法は運動の習慣をつけるということです。

ネガティブ考え方を修正してポジティブな考え方を無理に身に着けようと躍起になると、感情という生理現象を無理に抑えようとしていることになりますので、文字通り心身に過度な無理がかかってしまい、症状は逆に悪化する可能性が考えられます。

繰り返しますが、こうなるとパニック障害は逆に悪化する可能性が非常に高いです。

禁止、抑制は止めた方がいい。

逆にパニック障害克服に有効な考え方のコツについて

逆説志向というものがあります。詳しくは下記のリンクを参照ください。
記事中に説明があり、下記リンクをクリックすると逆説志向の項も一気にジャンプします。

まとめ

このように実は、パニック障害を克服するのに考え方を修正する必要など実は全くありません。
あるとすれば脳の機能(゠働き方)を修正する方法論をとっていくことが最重要課題なのです。

ただし、パニック障害に認知療法や認知行動療法、カウンセリングのような上述したいわゆる考え方の癖を修正する克服法は「気休め」、「補助」程度にはなります。
低料金のところがあれば自力の克服に合わせて実践されてみても良いかとは思います。

しかしながら、気休め以下の効果しか生まないものに、投資する必要はないというのが私の考えではあります。

パニック障害を自力で克服 (←ブログ記事一覧へ戻る)

(参照リンク:)※英語
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0072778/
http://depressiongenetics.stanford.edu/mddandgenes.html