パニック障害を運動で克服【最新版】

(最終更新日:2023/06/04)

パニック障害を運動で克服【最新版】

 

✅パニック障害を克服するのに、運動はかなり有効です。
運動は1円もお金がかかりませんから、誰でも今から好きな時にいつでも開始できるパニック障害の克服の方法になりえます。

 

パニック障害を運動で克服する場合、注意点が少しあります。それは”高強度の有酸素運動や筋トレを運動の工程に必ず盛り込む”ということです。

 

何故かというと、
最重度のパニック発作や深刻な不安症状には、強度の高い(キツイ)運動のみが有効であることが科学的に多くの国際論文において既に証明されているからです。

とはいっても、

 

✅全力で行う必要はなく、6~7割程度の力でかなり少な目(短時間(3秒から5秒だけでもOK)、数セット)に行うだけで大丈夫なのです。

そういう意味では中強度域の強度程度で十分だと思っています。

どのような運動がパニック障害克服に効くのか?

2005年チリの高校生に対して運動が心にどう影響を与えるかということについて9か月間という長期をまたぐ形で実験が行われました。

その研究では、まず中度から重度のパニック障害や不安障害の症状を持たない健康な被験者を、キツイ運動をするグループ、低強度の軽い運動をするグループに分け、実験は行われました。

✅その結果、判明したことは高強度の運動をしたグループのみに不安レベルの大幅な改善が見られたということです。

他方、低強度の運動のみをしてきたグループには、不安レベルの変化はほとんどありませんでした。

高強度の運動のみがパニック障害に効果がある

なぜ運動がパニック障害の克服に役立つのかという科学的な理由は、運動をすることで心を安定させるのに必要な神経伝達物質、セロトニン、GABA(γアミノ酪酸)が脳内で増え、パニック障害の原因となるアドレナリンを抑制するように働くからです。

註:高強度の運動のみが効果があるというよりも高強度の運動が特に効果があるといった方が適切です

また、他人への信頼感、安心感に深く関わるオキシトシンも運動特に高強度のエクササイズによって増加することがわかっています。


↑脳内の神経伝達物質を運動はBDNF(脳神経栄養因子=脳内の神経伝達物質を最適化する)を媒介(=上昇させる)することで最適化する

↑それから運動はHPA(交感神経及び下垂体–視床下部–副腎)軸のバランスをとるような働きを結果的に為します。

 

パニック障害の人の場合、このHPA軸のバランスが崩れているため、自律神経が失調していたり、常時、脳が強い不安や恐怖を覚えやすい過剰興奮状態に陥りやすくなっています。

運動でGABAやセロトニンが増える

そして、
✅HPA軸の修正には、ある程度強度の高い運動が最も有効になるわけです。

 

少し話がずれましたが、
このような形で、要するに軽い運動だけをしていたのでは、パニック発作や不安の減弱にあまり効果がない※ということになります。
(※無論、効果はありますが劇的というほどではない)

 


↑↑具体的な運動の方法【私による解説】

私のパニック障害克服経験談

過去の私は「心臓が止まるのではないか!?」というパニック発作に見舞われたことが多々ありました。

しかしながら、この症状は運動の習慣をつけることで無事、克服することができました。

 

✅努力をして消えたという話ではなく、運動の習慣をつけていくうちに、「自然と消失した」という表現が妥当だと感じます。

 


特に高強度有酸素運動や筋トレが効いたこと
を実感しています。

過去の私は自衛隊入隊に向けて、毎晩5~10㎞をインターバル(運動の強弱を交互に変えていく方法)を交えながら、走り、腕立てや腹筋、背筋、懸垂といったオーソドックスな筋トレを実行していました。

これが効いたのだと思っています。

軽い運動も効果があることには効果があるが・・・

軽いジョギングだけでも治療的な効果は明確にありましたが、より劇的な効果はある程度キツイ運動を取り入れるようになってから・・・・・・でした。

そのような理由から、日本で運動の精神疾患への有効性をいち早く公(おおやけ)に主張していたのが過去の私だったわけです。

注意点:

強度の高い運動がパニック障害の克服に効果がいくら高いといっても、いきなり運動習慣が全くない人が高強度の運動を実行するのは危険ですので、ご自身で無理のない範囲内から実践されるようにしてください。
また、運動が怖い人は徐々に徐々に楽にできる範囲から実践ください。

 

そのため、はじめは相当軽い運動(軽いジョギング)や速足、程度からはじめることをお勧めします。

 


はじめのうちは運動は、ジョギングだとかヨガ、エアロビクスのような比較的ゆったりとした
ものから開始されれることをお勧め
します。


↑高強度の運動は慣れてから行った方が確実に良い

 

高強度の運動は肉体を疲労させるので、極度の疲労から一時的な精神状態の不安定さ※を招くことがあります。
(※十分な体力がついていない場合)

ですので、低強度で体づくりをしてから中強度や高強度のエクササイズを取り入れるようにしていくのが最短ルートになります。

 

なお、
✅ややこの記事の趣旨とは矛盾するのですが、特にヨガは深層筋(インナーマッスル)を鍛えるという特殊な効果があります。

その結果、自然と呼吸が深くなるので、精神は安定するようになるのです。

パニック障害は運動不足の人が多い

注釈ですが、パニック障害では運動不足の人が非常に多いと言われています。これはパニック障害の人に限らず神経症の方にも当てはまる話です。

なお、運動不足の人はいきなり過激な運動を行うのではなく、徐々に徐々に緩やかな運動から慣らしていくようにすると良いです。

ヒトは運動が不足していると誰でもイライラしたり、不安が強くなったり、精神が不安定なノイローゼ気味になるというのは有名な話です。

 

✅発展途上国の人が精神的にも肉体的にもたくましい人が多いということを私自身、世界中を旅した経験があるので実感しています。

その理由は、体を日々の生活の中で、きちんと使っていることもその一因だと考えています。

(まとめ)

Point

①高強度有酸素運動(70%~100%)の無酸素域と有酸素域の境目くらいのキツイ運動を数秒~5秒必ず、運動のルチーンに取り入れるようにする。1セット程度でも構わない。(かなり短めに行うのがポイント)筋トレも併せられるとさらに効果的。

②低強度の有酸素運動(゠ジョギング、散歩、エアロバイク、踏み台昇降など)は10分くらいで良い。最悪、気力が出ない人は運動時間は3分から5分程度でも構わない。さらに、やる気が出ない人は30秒でも1分でも良い。そして、このプロセスに高強度有酸素運動を必ず1セットは取り入れることがポイント。

③運動はGABA、セロトニンレベルを上昇させ心をリラックスさせる天然の抗うつ薬であり、抗不安薬である。しかもお金が全くかからない。

④運動はBDNF(脳神経栄養因子)を増やし、BDNFは副腎で生成されるストレスホルモン「コルチゾール」の攻撃から脳神経を防御する。また、BDNFは脳神経の新生を促し、ストレスによってダメージを受けた脳細胞を新たに再生させる。BDNFが増加すると、脳内のリラックスに重要な神経伝達物質は最適化されていくことが数々の研究によりわかっている。

⑤パニック障害の人で、体が過度に疲れていたり、運動の習慣がまったくない人はいきなり高強度の運動はやらない方が良い。また、肉体的にかなり疲れていると感じる日や筋肉痛が酷い日は休みをしっかりとる。

⑥運動の習慣のない人や体が弱った実感のある人は、自分のできる範囲内から実行し、無理はしない方針で行くと良い。(7割できたらOKというような緩い感じで、完璧主義は捨てる)

⑦パニック障害の人で、運動をすると焦燥感が強くなったり※、不眠になったりする人は、寝る数時間前に運動をするのは止め、もしするのであれば、強度の軽いもののみを行い、高強度の運動を含めるのであれば、夕食前かその直後の就寝の4~5時間前程度にするようにするとよい。

(※しかし、この現象は体が慣れていないから起きる現象の場合がほとんどではある。)

✅運動の高い抗うつ効果:↑2000年にデューク大学で行われた実験では、抗うつ薬の投与よりも運動を単独で行ったグループの方が、高い抗うつ効果が確認された。しかも、運動だけを行ったグループは、運動と抗うつ薬を飲んだグループ、抗うつ薬だけを飲んだグループよりも高い回復率を示しこのことに研究者は驚いたという。

アメリカでは、健康保険制度に大きな問題があり、国民の「自分の健康は自分で守る」という意識が日本よりも遥かに強いです。

したがって、近年では、うつ病やパニック障害などの心の病気にかかった人は、自分で運動をしたり食事に気を付けたりし、自らの人体に備わる「天然の抗うつ薬」を引き出し、自分の問題を自分で克服していくようになってきています。

そのため、アメリカにいると、街の中を堂々とジョギングしていたり、バスや電車の待ち時間に腕立て伏せのような筋トレをしている人をよく目にします。


↑私のメインチャンネルの動画です。(現在はサブチャンネルに力を入れています)

そして、精神医療への米国民の不信感も根強く安易な薬物療法への懐疑心をあらわにする人々も多くなってきている印象を受けます。

 

(関連記事:)
パニック障害の克服におススメの本【脳を鍛えるには運動しかない】

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(参考文献:)(※英語)
https://today.duke.edu/2000/09/exercise922.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=john+j+ratey
https://well.blogs.nytimes.com/2012/11/21/the-love-hormone-as-sports-enhancer/
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10615800008248340
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002239560900048X