(最終更新日:2020/12/29)
目次:
パニック障害を呼吸法で克服できる?
ごく軽症のパニック障害であれば、呼吸法で克服できるかと思います。パニック障害のような心の病気にかかっている人は、浅く弱い呼吸が慢性的な習慣になっています。
そして、
呼吸が浅いと精神が不安定になり、パニック発作の惹起に終局的につながることになります。
逆に、深く長い呼吸が自然とできていると精神は安定していきます。
今回は呼吸法について説明させていただきたいと思います。
呼吸とはそもそも何か?
呼吸とは書いて読んだごとくですが、呼気と吸気の繰り返しをいいます。
■呼気とは吐く息です。
■吸気とは吸う息です。
〇吐く息が長く力強いほど副交感神経が優位になります。
(゠つまり、リラックスできる。)
逆に、
〇吸う息に力が入り、吸う息が長いと交感神経優位の緊張型になります。
(゠つまり、パニック障害になりやすくなるわけです。)
意識的な呼吸のコントロールは精神の安定にそもそも有効なのか?
ヒトの呼吸のコントロールは、主に脳幹という最も古い脳部位が司り、そこから大脳新皮質に存在する中枢神経系統との相互互換作用を経た後、自動的に「深い呼吸」または「浅い呼吸」が決定づけられています。
つまり、「脳幹によって呼吸の深浅は、生まれつきはじめから決定づけられている」という話になります。
パニック障害と過呼吸
パニック障害の人が過呼吸に陥りやすい理由はここに存在します。生まれつき、呼吸が浅く弱い人(繊細な人、内気な人゠思考する能力が高い、IQが高い人)は精神が不安定になりがちです。
そして、精神が不安定になり、過緊張状態が続くと、過呼吸が起きます。過呼吸が起きると、血中の二酸化炭素濃度が低下し、酸素濃度が上昇することで、息苦しさを極度に感じることになります。
過呼吸が起きる人は、もともと先天的な要因により、浅く弱い呼吸パターンが身についています。
このような人はストレスに弱い、または繊細な性格をしている場合が少なくないので、対策する必要があります。
話を元に戻します。
呼吸のパターンはあらかじめ決まっている
深い呼吸が自然とできている人は、脳内のGABAレベルが遺伝的に高く、呼吸が浅い人は脳内のGABAレベルが低いです。これは、先天的な要因が大きいです。
✅つまり、GABAが増えると、自然と呼吸は深くなり、安定します。
このとき、過呼吸が生じることもまずありません。(GABA(γアミノ酪酸)とは心をリラックスさせる神経伝達物質の一種で、筋肉を緩める作用があります。)
ちなみに、GABAはサプリメントとして売られていますが、分子が大きいため脳に吸収されないので劇的な抗不安効果はありません。
GABA⤴ ➡ 深く強い呼吸゠精神が安定する
GABA⤵ ➡ 浅く弱い呼吸゠精神が不安定になる
上の図やここまでの説明を理解していただければ、生まれつき呼吸の深浅は決まっているということになります。
✅【GABAを増やす方法はこちら】
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
(関連:)
〇パニック障害の克服に効くビタミン、ミネラル(まとめ)
それを、人為的な呼吸法によって呼吸を無理に制御し、それによってパニック障害を克服しようという試みは、かなりの無茶になります。
(※呼吸の深浅は先天的に決まってるからです)
ことに、中度以上のパニック障害においてそういえます。
何故かというと、呼吸のパターンは既にあなたの脳の機能によって必然的に決定づけられているからです。
したがって、無理やり呼吸法を用いることで、呼吸をコントロールしようという試みは、パニック障害を克服するうえで、あまり効果的ではなく、パニック障害やその症状のひとつである過呼吸を悪化させたりする可能性もあります。
パニック障害を克服する最も効果的な呼吸法とはなにか?
しかしながら、「パニック障害に呼吸法が全く無効なのか?」というとそういうわけでもありません。
パニック障害を克服するのに、最も効果的な呼吸法の練習は何かと皆さんは考えますか?
それは、「ある程度、息が上がるような有酸素運動の習慣をつけること」です。
これは前の記事で説明しているのでそちらも参照ください。
【↑私によるパニック障害を克服する呼吸法についての解説】
なぜ、有酸素運動が最上の呼吸法の練習になるのかというかというと、運動をすると、呼吸筋(呼吸に関連する筋肉群)が、激しく収縮と拡張を繰り返します。
この収縮と拡張の幅が広ければ広いほど、深い安定した呼吸ができていることを意味します。
つまり、有酸素運動の習慣をつけることで呼吸に関する筋肉が柔軟にかつ強くなるということです。こうして、「呼吸筋が柔軟になると必然的に長くて深い、呼気に力の入った精神を安定させる呼吸法が自動的に可能になる」という算段です。
有酸素運動は最高の呼吸法
有酸素運動の習慣をつけると、上で述べた呼吸の深さに関わる脳内神経伝達物質、GABA(γアミノ酪酸)が増加するので、筋肉が弛緩しリラックスする、それに伴い心も安定するということです。
筋肉が弛緩しリラックスすれば、呼吸筋もよく伸縮するようになるため、必然的に常時深い呼吸ができるようになるのです。
よって、パニック障害を克服するためには、「巷で言われる呼吸法を練習する前に、有酸素運動の習慣を先につけた方がいい」、という話になるわけです。
「落ち着くために深呼吸しないといけない!」と巷では良く言われていますが、深呼吸をしようだとか、丹田呼吸法をやろうだとか、そういうテクニック的なことをやってみようという以前の話として運動がまず第一番に重要です。
なぜなら、
運動中は必然的に深い呼吸になっています。
深呼吸をしないと有酸素運動はそもそもできません。
又、十分に筋肉を日中使用していないと、いくら呼吸法を実践しようと思っても呼吸は深くならないので失敗に終わるのです。
これが主な理由です。
要するに、
ということです。
運動の習慣をつけていくと、呼吸筋が自然と鍛えられていくので、パニック障害の人に欠けている呼吸パターン「深い呼吸」が自然とできるようになります。
また、運動の習慣をつけるとGABAが上昇するので、筋肉がリラックスするので、「深い呼吸」がやはり同時に身につくのです。
(参考:)
・パニック障害を運動で克服
・パニック障害をヨガで克服
どうしても呼吸法をやってみたい人へ
しかしながら、どうしても呼吸法を試してみたいという人もいるかと思われます。そのような方のために呼吸法の基本について、この場で一応説明しておくので、参考にされてみてください。
呼吸法のやり方:
①:息をゆっくりと長く吐きます。(大体、肺の中の空気が7割8割なくなるまで) ②:息を吐き切ると、自然と息が入ってきます。(このとき自然に息を吸ってください。吸気は自然に任せてください。) ③:また、①のプロセスに戻り、ゆっくりと息を吐いて、吐き切ります。 ④:息が自然と入ってきます。 ⑤:①のプロセスに戻ります。 ・・・・・・ 以上のプロセスを5分~10分繰り返していきます。 |
呼吸法のコツは、たったこれだけです。
要するにゆっくりと息を吐いていき、ある程度、息を吐き切ると、自然と吸気してしまうので、呼吸法の極意は、ただ息をゆっくりと吐くことのみに専心していればいいという話になります。
※注意点としては、息苦しさを感じるまで吐き切らず4割から3割程度余力を残して吐いていかれてください。「呼吸が楽だな」とリラックスできる程度が一番効果的な息の長さ(この場では呼気)になります。
息を吐いていると上でも説明しましたが、リラックスに関係する副交感神経の活動が活発化するので、心がくつろぐわけです。
(パニック障害の人では興奮、緊張に関わる交感神経の活動が過剰に亢進しています。)
上で述べた通り、運動中は誰しもかなり深い呼吸をずっとし続けることになるからで、それにより必然的に呼吸筋が鍛えられるためです。
(まとめ)
パニック障害を克服するのに、まず第一に呼吸法などをいちいち練習したり、やってみる必要は実はありません。
それよりも、
ただ運動を習慣化していくだけで、呼吸筋は必然的に強く柔軟になるので、自然と呼吸は深く長くなり、脳波が安定することになります。
(゠精神が安定する)
〇パニック障害を自力で克服【最新版】(←ブログ記事一覧へ戻る)