パニック障害と電車【対策】

(最終更新日:2023/02/12)

パニック障害と電車【対策】

 パニック障害の人では電車のような乗り物に乗るのが苦手な人が多々いらっしゃいます。
なぜ、パニック障害の人が電車を苦手とする場合が少なくないのかというと、電車に乗ると、一定時間拘束されることになるからです。

 

たとえば、
乗車中にもし、パニック発作が起きたら、どうにもならないことになってしまいます。また、電車は閉鎖空間です。
「パニック障害の人は閉鎖空間を苦手とする場合が多い」と報告されています。

 

 

そのような懸念がパニック障害当事者を苦しめているわけです。
このページには、パニック障害の人が電車に乗る際の対策法についてかなり詳しく書いてあります

後半に具体的な対策、克服法が書かれているので時間のない方は、上記目次から一気に飛べるので、そちらを先にお読みくださればと思います

 

 パニック障害で電車を苦手とする人は多い

事実、山手線だとか高崎線だとかそういうメジャーな路線に乗っていると、度々、電車が緊急停車することが少なからずあります。

車内アナウンスでは、

 

「乗客のお客様の中で体調が悪い方がいるため停車いたしました」と説明されたりしていますが、中には「パニック発作が起きて倒れこんだ乗客の方も、そのような方のうちで、もしかしたら存在するのではないか?(実は少なくないのではないか?)」

 

と私は推測できます。

パニック障害の人が電車を苦手とする理由

パニック障害の人が電車を苦手とするのは、
電車が、飛行機のような乗り物と同様に、

・一定時間拘束される(自由自在に自由意志で途中下車できない)
・乗客が多いとき(特に満員電車)は、酸素が欠乏しやすい
(特に地下鉄。※下記参照のこと)

・閉鎖的空間である
・他人と顔を合わせるために、過度のストレスを感じやすい
・仕事帰りで疲れているのに他人と身近で顔を合わせたくなどない
(電車内)

・・・・・・
といった条件をすべて満たすからです。

過去の私の体験談について–電車内におけるパニック発作–

過去の私は、パニック障害の症状(心臓神経症)は他の神経症とともにありましたが、そもそも電車は特に苦手とはしませんでした。
しかしながら、乗車中にパニック発作を起こしたことが過去に一度だけあります。

 

海外の地下鉄(満員状態)に乗っていた時に、「窒息してしまうのではないか!」と思えるほど息苦しくなり、気分が悪くなったため、急遽(きゅうきょ)、途中下車したことがあったわけです。

 

同時に酷い吐き気や動悸も覚え、額には汗がにじみ出ました。

このとき、私は医師から新しく処方された抗うつ薬(NaSAA:ミルタザピン※下記参照)を飲んでいました。

私の場合ですが、SSRIをはじめとする抗うつ薬の服用は、ただ症状を劇的に悪化させただけでしたので、当時を振り返ってみても、これしか原因は見つかりません。

なぜなら、過去の私は電車内におけるパニック発作の経験がそれまで一切合切なかったからです。(飛行機も大丈夫でした)

パニック障害の人が電車を克服する対策

 


①:満員電車を避ける

②:各駅電車を利用する
③-ⅰ:車内で瞑想を行い、意識をそらす
③-ⅱ:逆説志向を実行する

④:抗不安薬を用意しておく
⑤:乗車すること自体に慣れる

 

などの対策が有効です。

では、
順を追って説明していきます。

①満員電車を避ける

※満員電車だからといって、酸欠状態になっているということは実際は科学的にはありえないのですが、外の外気に比べると、人が多数乗車している満員電車内の空気は、酸素濃度は薄くなってはいます。

そのため、そのような極微小な変化にさえ敏感な人の場合、それがパニック発作を起こす原因(トリガー)になる可能性は高くなります。

このような人の場合、自分でできる対策としては、

 

「朝、早起きして、ラッシュ時の乗車を避けるということ」や、
「退社時の場合も数本待てば、帰宅ラッシュの乗車を避けることができたりしますので、ラッシュ時の電車はあえて避けるという方法」
です。

 

また、どうしてもそれが無理な場合は、グリーン車を利用し、満員状態の電車を回避するというのも一法です。

②各駅電車を利用する

この対処法の理由は、読む前から簡単に理解できるかと思いますが、急行電車や快速電車、新幹線などでは融通の利いた途中下車が、各駅電車のようにはできなくなります。

そのため、もしパニック発作が起きた場合、もしくはその予期不安が生じた場合、ある程度の長い時間、途中下車することができなくなってしまうわけです。

そういうわけで、
パニック障害を抱えているという自覚のある人、そしてことに、電車が苦手な人は必ず各駅電車を利用するようにすると良い
のです。

③-ⅰ:車内で瞑想を行い、意識をそらす

車内で瞑想を行うこともお勧めです。パニック障害をはじめとする神経症は症状を意識しだしたとたん酷くなります。

 

🔵「緊張すまい!」
🔵「パニック発作を起こさまい!」
🔵「予期不安なんて一切気にすまい!」

 

と気張れば気張るほど症状は強く出るわけです。

これは「宝箱を開けるな!」といわれると、逆に「宝箱を開けたくなる」心理です。

 

ヒトは「~してはいけない」「~しないように」といわれると(≒禁止されると)

逆に、

「~したくなる」生き物なのです。

 

しかしながら、マインドフルネス瞑想を行うと、呼吸の方に意識が強く集中するので、雑念や予期不安の方への想念はかなり薄まります。

(ただし、重症度の比較的高いパニック障害の人にはこの方法は向かない場合もあります。)

③-ⅱ:逆説志向を取り入れてみる

逆に、開き直って、あえて、

「電車の中で世界最大級のパニック発作を起こして他の乗客の度肝を抜いてやる!」

などと自分に言い聞かせると、パニック障害が起きづらくなります。

これは、
先に話した「宝箱を絶対に開けるな!」といわれると逆に無意識的に「宝箱を開けたくなる」という人間心理を逆用したものです。

つまり、

「宝箱を絶対に明けてやる」゠「パニック発作を絶対に電車内で起こしてやる」


と故意に思い込む(言い聞かせる)ようにすると、



「宝箱を開けたくなくなる」゠「パニック発作は電車の中で起きづらくなる」

 

となるわけです。

このような克服法は、専門には「逆説志向」と呼ばれています。

簡単な言葉でこの概念を説明すると、要するに「開き直り」です。

 

この概念を神経症の治療法として、特に有名にしたのはV・E・フランクルというアウシュビッツ強制収容所の地獄を実際に経験し、後に「夜と霧」「心理学者の強制収容所体験」などの書籍で世界的に有名になるオーストリアの精神科医で、「ロゴセラピー」という治療法の考案者でもあります。

 

彼の患者の多くは心臓神経症のような当時の言葉で言えばノイローゼの問題を抱えていましたが、「逆説志向を練習させることで、その多くに効果があった」としています。

 

たとえば、彼の患者のある実例では、「広場恐怖症(パニック障害の症状の一種)がある人に、広場へ行くときはいつも「世界最大級のパニック発作を起こして、周囲の人間たちを極限的に驚かし彼らの度肝を抜いてやる!」と自分自身に言い聞かせなさい!」と患者にアドバイスし、それで実際に「広場に出てもパニック障害の症状が出なくなった」という患者も少なくなかったといいます。

 

このテクニックが閉所恐怖型のパニック障害(電車のような乗り物が苦手な人)の対処法として適用できます。

パニック障害の人の電車対策に、この思考法は多少以上の「中の下」程度くらい有効です。

要するに、結構、効果的なわけです。

根本解決にはならないかもしれませんが、少なくとも一時的な処置には十分なります。

④抗不安薬を用意しておく

抗不安薬を飲めば、過呼吸や発作が起きることはまずなくなります。

 

脳内のGABA(γアミノ酪酸)濃度が上昇すると、自然とリラックスできるからです。あまりにも症状が酷い場合は、抗不安薬を携帯されることをお勧めします。

 

抗不安薬とはデパスやソラナックスなどのことです。

そして、抗不安薬を飲むことに、引け目を一切持たないことも大切です。

また、
「これがあれば安心だと思えるものを乗車前にバッグやポーチなどに入れておくことで、リラックスできる」というお守り的、おまじない的な抗不安効果も、抗不安薬の携帯自体にはありますから、パニック障害の当事者の方が、より安心して電車を克服していくことに役立つというわけです。

⑤乗車すること自体に慣れる

電車に乗るのが苦手でも、何度も何度も何十回も乗る練習を繰り返すと、パニック障害を抱えていても電車に慣れることはある程度までは可能です。

 

これを専門には暴露療法における脱感作(だっかんさ)と呼びます。人間は苦手な状況でも繰り返し経験すると、次第に苦手な刺激を苦手な刺激として認識、知覚しなくなっていきます。
(簡単に言えば、これは感覚が麻痺してくるようなものです。)

 

つまり、慣れれば慣れるほど「電車に乗るのが怖い」という感情が麻痺して薄れてくるというわけです。

しかしながら、この方法にはもちろん限界があります。

ただし、暴露療法もある程度まではパニック障害に有効ですので、電車に乗ること自体に慣れてしまうというのも、パニック障害を抱える人の電車(乗り物)対策として有効です。

コラム:パニック障害の人が電車で吐き気を催すこともあるのはなぜか?

 車の中で本を読んだり、スマホをしていると、多くの人間は吐き気や悪心に襲われることは有名な話です。人間は三半規管(耳の内に存在するバランス感覚に関わる器官)の問題で、動く乗り物(電車や車)に乗車中、活字に目をやっていると、乗り物酔いしやすくなります。

パニック障害で電車に乗り、いつも吐き気を感じるという人は、車内で読書やスマホはなるべく止めた方がいいでしょう。
※パニック障害の人は三半規管が先天的に常人よりも弱い可能性があるからです。
(※しかしながら、ケースバイケースではあります。)

電車だけ乗れないという人もいる

パニック障害の人の中では電車だけ乗れないという人も存在します。

他の乗り物「飛行機、車、バス」は全く持って大丈夫であるにもかかわらず、電車だけは、どうしても苦手であるという声も存在しています。
特に満員電車は外気と比べると、酸素が欠乏しやすい環境にあるので、このような人も多いということになるのだと私は推測します。

 

上の方でも述べましたが、過去に私は海外の地下鉄でパニック発作(息苦しくて窒息するのではないかという症状)を引き起こし、急遽、目的地までの途中の駅で下車したことがあります。

 

そのときの素直な実感は「パニック発作は自分の意志でどうになかなるようなものでは一切ない」ということでした。

ちなみに、外国人観光客の間でも東京の電車の満員具合は悪名高くそのことをブログやYouTubeで紹介している人も少なくありません。

私の経験ですが、中南米の一部の国の地下鉄や電車を除いては、車内がここまで人で混み合う状況になるのは日本くらいです。

まとめ

パニック障害の人が電車を克服するために必要な対策をまとめましたが、電車は飛行機ほどは恐怖の対象には一般的にはなりえないと、私は思います。

たとえば、飛行機の場合、海外便ですと10時間途中で降りれないなんてことが通常ですが、電車の場合は、せいぜい急行や快速でも長くて数十分です。

新幹線もまた同様の話です。

しかし、電車はより身近な存在であるがゆえに、パニック障害の人を苦しめているという印象がより強いです。

当ブログにはパニック障害を克服するうえで大切なことが書かれていますので、根本解決したい方は、ぜひお読みになられてみてください。

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