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パニック障害を森田療法で克服できるのか?

(最終更新日:2020/11/03)

パニック障害を森田療法で克服できるのか?

「パニック障害を森田療法で克服できるのか?」と問われれば、私はごく軽症のパニック障害であれば「できる」と回答します。

森田療法とは、パニック障害(神経症)の患者を専門の施設に入院させるなどして、暴露反応療法を継続的、持続的に行い、脱感作(だっかんさ)(゠恐怖の対象に慣れさせる)させる・・・・・・という趣旨の治療法です。

森田療法の誕生

森田療法はパニック障害の克服法の中で、一番まともで信頼できる治療法です。ほんのごく軽症のパニック障害であれば、森田療法と運動の習慣をつけるだけで克服できると思います。

コラム1:
森田療法の創始者、森田正馬はもともとパニック障害(当時は心臓神経症と呼ばれていました)の患者で、「東京帝国大学在学中に心臓神経症の症状に苦しめられ、よもや落第かと思われた瀬戸際で、死に物狂いで勉強に没我没入しているうちに、自然とパニック発作の症状を克服した」というバックグラウンドを持っており、それを契機にして、森田療法という治療法を創始しました。

中度以上のパニック障害は森田療法で克服できない

しかしながら、中度~重症のパニック障害になると、森田療法ですら太刀打ちできなくなります。

何故かというと、重症度が増すほど遺伝的な要因(ファクター)が濃厚になってくるからです。
要するに、生まれつき「パニック障害脳」を持って生まれてしまったという残酷な話になってくるわけです。

(参考※英語:)
https://www.healthline.com/health/depression/genetic

森田療法を行うことは環境要因によって後天的に遺伝子発現を変容させようという試みです。

また、他のページで説明しているように、運動の習慣をつけることも後天的な遺伝子発現に影響を与えます。

要するに、パニック障害を発症しうるリスク遺伝子を眠らせる、もしくはパニック障害を克服するのに必要な遺伝子のスイッチを入れていく・・・・・・というメカニズムを誘導していくことがパニック障害の克服において重要になってきます。

森田療法や運動は遺伝子の働きを変える

たとえば、後者の話ですと、パニック発作の原因の一つであるアドレナリンを抑制するGABA(γアミノ酪酸)のような脳内神経伝達物質の善玉因子に対する遺伝子の発現をブーストしながら、パニック発作発症リスクを低減させていく・・・・・・などなど、このような形の話になります。

 

ただし、中度~重度のパニック障害では、リスク遺伝子自体が強烈に脳機能に作用していますから、森田療法を用いても克服は限りなく難しくなります。

その理由は、過度の神経質という気質自体は、生まれつきの先天的なものであるからです。

コラム2:
私の顧客のある方は、森田療法の専門クリニックに数回入院し、パニック障害を克服しようと試みましたが、最終的に、彼が悟ったことは「パニック障害に限らず、神経症というものは遺伝である」ということだったそうです。

人間の性格は気質が根幹に存在し、その気質(明るい゠物事を前向きに捉える、暗い゠物事を消極的に捉える)に色付けされ、既に生れ落ちたときからあらかじめ決定づけられています。

神経質は薬やサプリメントを飲まないと変えられない

私の体験から話しましても、長年の座禅や瞑想の修行、自衛隊へ入隊しようが、運動の習慣をつけようが、この気質自体は変えることができません。そもそも本来であれば気質など変える必要などないものであるかもしれません。

そもそも、「気質を変えよう」だとか「性格を変えたい」だとか、生まれつき明るいポジティブな性格の人や、比較的普通な人たちは、そんなこと生まれてこの方、考えたことなどまずないと思います。

森田療法をやっても私の神経症は根本解決しなかった

しかしながら、過去の私のように過度のハイパー神経質のような気質を生まれついて持ってしまうと、社会的な活動が一切できなくなります。

要するに、「何もかも終りだ!」ということをこれは暗に意味します。

パニック発作や予期不安が人前に出るとコントロール不能なレベルで現れるからです。(過去の私の場合においてですが、パニック障害だけでなく、他にも数々の精神疾患の症状がむしろ強く現れていました。)


過去の私のような、この次元のレベルの話になってくると、より効果の高い代替療法であるとされる森田療法をもってしても、ほとんど太刀打ちできなくなる
わけです。

 

繰り返しますが、私の過去のクライアントは森田療法を行う医院に長期間入院し、森田療法をほぼ完璧というレベルで実践したそうですが、「限界がある」と言われていました。

自衛隊入隊という私の過去

これらのものを根性で克服しようという試みは、どんなに過激な精神修養をしてみても無駄でした。私は入隊経験がありますが、軍隊というのは森田療法と同じ暴露反応療法です。

究極の暴露療法といっていいのかもしれません。
つまり、自衛隊への入隊というのは、森田療法の極致であるともいえるかと思います。

森田療法で神経質までは克服できない

軍隊生活は、「一切プライベートなしの生活」を365日ほぼ毎日繰り返します。

そのような経緯を経ても神経質は治りませんでした。

軍隊で長年訓練を受けてきた上官は、「性格は変わらないよ」と若い私に話しました。
また、長年、禅の修行を積んだある禅僧も「座禅や瞑想で性格は変わらないよ」と同様に話してくれたことがあります。

今現在の私は「まさにその通りだなぁ」と懐かしく述懐するモノですが、当時の純粋な私には認めたくない残酷な現実であり、その忠告に素直に耳を傾けるほどの度量は存在していませんでした。

(まとめ)

森田療法はパニック障害の克服において軽症例のモノには有効です。しかしながら、中度~重度のパニック障害にはほとんど役に立ちません。
何故かというと、重症度が増すほどそれに比例して遺伝要因が環境要因よりも濃厚になっていくからです。
(医学的にも確認されている事実)

✅したがって、中度以上のパニック障害は私が主張しているような薬とサプリメントを最高の組み合わせで服用していくという治療の方法をとらないと、まず治りません。

逆にこうした方法を取ることが重いパニック障害から克服する要訣になります。

パニック障害を自力で克服 (←ブログ記事一覧へ戻る)

(参照:)※英語
https://www.healthline.com/health/depression/genetic
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4806496/