強迫性障害の人に言ってはいけない言葉【禁句】

(最終更新日:2023/09/22)
強迫性障害の人に言ってはいけない言葉【禁句】

 

強迫性障害の人は極めて繊細です。

ガラスのように繊細でこだわりも強いため、周囲のサポートをする人間(家族、友人、恋人、伴侶等)は言葉を選んだ方が予後は確実に良くなっていきます。

今回は強迫性障害の人に言ってはいけない言葉(禁句いわゆるタブー)の代表例をまとめました。

 

強迫性障害の人に言ってはいけない言葉、禁句の代表例

「死にたくなることなんて誰にでもあるものだよ。」

言ってはいけない理由:

確かに正論なのですが、強迫性障害は次元が異なるといえるほど心理的にキツイ病気です。

一般の方とは異質な苦しみが当事者を襲っています。文句を言いたくなる気持ちはわかりますが、当事者にこの種の一般論を言うことはやめた方が良いです。

 

✅そもそも人間生きていて死にたくなることなどそう高頻度で起こるものではありません。

✅過去の強迫性障害に苦しんでいた頃の私は365日十数年以上も「死んだ方がマシ」だと本気で思っていました。

 

「何度も何度も同じことを繰り返して時間の無駄だって。馬鹿なんじゃない?」

言ってはいけない理由:

強迫性障害の人は脳の機能異常のために強迫行為を脳に強制させられています。

 

これは不安レベルが尋常ではないほど上昇しているために引き起こされる現象なのですが、人間は不安レベルが上昇するほど強迫行為に捉われる生き物です。

この心理状態の人にいくら正論を説いても無意味どころか、むしろ逆効果になります。

 

心身が不安定な状態にある人へ適切なアドバイスをすることは健康な人においても逆効果になる場合がほとんどです。

例えば、
「怒り狂っている人に怒りは毒だよ」などと正当な忠告をしたとしても逆効果になり、むしろ逆上してしまうことでしょう。
(冷静になったときに正当な忠告をすべきです)

これが強迫性障害の人にも当然当てはまり、この種の忠告は言ってはいけない言葉リストに含まれるのです。

「強迫なんて誰にでもある。甘えとか仮病の類だろ」

この言葉がダメな理由:

強迫性障害は甘え病ではありませんが、確かに強迫観念や強迫行為というモノは、上述の通り、一般の健康な人にも見られるものです。
しかしながら、強迫性障害の人の場合は、その次元(尺度)が異なっているわけです。

 

つまり、強迫観念や強迫行為等によって日常生活が著しく阻害され、社会生活に支障をきたすほどのレベルに陥没しているのです。

例えば、私の顧客のある方は風呂に入ると洗浄が止まらず、風呂場から4時間も5時間も出てこれなくなるという人がおりました。

また、
自分でトイレに行けなくなるという人も存在しました。

 

強迫性障害でも本格的なレベルになるとこの次元の話になるのです。ここまで来ると強迫性障害は列記とした脳の機能障害だと言わざるを得ませんし、より多くの方が耳を傾けるようになることでしょう。

(関連記事:)
強迫性障害は”甘え”や”わがまま”ではない !

「そんな病気なんて存在しない。ただ小心なだけでしょ」

タブーである理由:

中には強迫性障害と言う病気の存在自体を否定する人もいます。
しかし、脳スキャンレベルで強迫性障害の患者群に共通してみられる特有な脳構造が解明されているのです。

 

小心なだけなら引っ込み思案程度で済むかもしれませんが、強迫性障害の人は生活もままならなくなるほど強迫に捉われ、身動きが取れなくなっています。

例えば加害恐怖が酷いせいで車の運転ができなくなったり、1日に数時間も睡眠時間を削りながらドライブレコーダーを確認してしまう人もいるのです。

「また薬なんて飲んでしょうもない奴だな」

ダメな理由:

これは心の病にかかった人の周囲の家族が意外にも最も言ってしまいがちな言葉なのですが、非常にマズイ対応です。

強迫性障害を抱える本人は往々にしてそもそも薬が体に悪いという事も理解していますし、薬に頼ることは本当は良くない事であるとその事実を綿密に把握しています。

強迫神経症を治すために薬を飲んでいるのに、それを否定されたのでは本人が怒るのも無理はないでしょう。

薬も全部が全部悪いわけではありませんし、時と場合によっては症状を改善し、QOLを大幅に高まるケースも存在します。

 

✅ネット上で一部の医者が薬(化学物質)を完全に否定していたり、心の病の存在を全否定していたり、その種の話が広まっていたりするようですが、薬も必要なときは必要なのです。

これは体験者にしかわからないことでしょう。

(そもそもその種の医者や個人は自分が強迫性障害になった経験を持っていない場合がほとんどです。経験していないことを人間は絶対に理解できません)

 

ですので、柔軟な対応を周囲の人間は取った方が良いです。

 

まとめ

強迫性障害の人を周囲でサポートする人間は言葉を選んだ方が良いです。

良かれと思った忠告が往々にして逆効果になる場合が少なくないためです。


人間とは心身が不安定な状態で正当な忠告を受けても、まともに耳を傾けられない感情的な生き物なのです。

先ほども申しましたが、何かに怒っている人に「怒ると寿命が縮みますよ」と正当なアドバイスをすると火に油なのと同じ話です。

 

周囲のサポートする人間のストレスも物凄いモノがあると思います。私の顧客のある方は娘に家を破壊され、警察沙汰になったことがあると言っています。
(深夜に家の外に出されて鍵をかけられた親御さんもいます)

ですので、サポートするご家族等では心身的にうつ状態になる人も少なくありません。

特に巻き込み型の強迫性障害で顕著です。

 

このようなケースでは適切な克服法を取り、それを実行することが急務の課題となります。
まず、深刻な心理状態を改善させ、正論に耳を傾かせることが出来る状態まで持って行くことが、とても大切です。

また、御家族等が心理的に限界になり、助けが必要だと強く感じた時は、すぐに助けを求めるべきです。
(何が何でも耐えるのは完全に間違いです)

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