強迫性障害克服における認知行動療法の位置づけ

(最終更新日:2022/03/26)

✅強迫性障害の克服法として認知行動療法(CBT)というものがあるんですけれども、この認知行動療法というのは認知療法と行動療法を足したものです。行動療法というのは、別名で暴露療法(または曝露反応妨害法)という風にも言います。

認知行動療法とは、これら二つの療法(行動療法+認知療法)を合わせた治療法になるわけなんですね。

 

“強迫性障害に限った話ではなく、うつ病とか他のパニック障害ですとかそういった心の病気の克服法として、今現在精神医療の臨床において注目を集めている新しい治療法ではあるんです。”


ところが、あまり強迫性障害の克服に効果が上がってないという話は国際論文でもそうですし、私のその直接対応しているクライアントの方から「認知行動療法を受けたが、強迫性障害はまったく改善しなかった」という話をよく耳にしています。

強迫性障害を克服するうえでの認知行動療法の位置づけ

そういうわけで、

“基本的には結論を先にいますと、認知行動療法は強迫性障害を克服する上で根本的な解決策にはまずならなく、あくまでもサポート、補助そういった位置づけ”

になります。

強迫性障害の克服において認知行動療法は、このように形容するのが最も正しいと私は感じています

過去の私の認知行動療法の体験談:

実際に私も認知行動療法というものを受けてきました。さらには、その他もろもろの精神療法および心理療法というものを長年にわたって、強迫性障害を克服するために受けてきた経歴があるのですけれども、私にとっては、ほぼ効果がありませんでした。

それは、ほんの少しの気休め程度、あるいはサポート的な存在にしかなりませんでした。

強迫性障害の克服の道程で認知行動療法はサポート的な位置づけ

私にとっては認知行動療法はその程度のもので、私だけの話ではなくて私のクライアントの方のお話とかを伺って、そういった情報を総括して参りますと、強迫性障害を克服する上で、この認知行動療法というのは、まずドラマチックな改善効果を示すようなものではなく、克服の道程において主役になるべき存在では一切ないという話になるわけです。

 

中には、その認知行動療法で「強迫性障害が克服できる」と昨今、主張しているような人や喧伝している専門家とか結構色々いますが、実際は認知行動療法は相当に過剰評価されているわけです。

 

✅”人間の認知”というものは“脳の機能によって色付けされたもの”でありますから、当然の話です。

すなわち、

“そういうネガティブなことを考えやすい脳の機能状態になっているので、ネガティブな思考法に自然となるというわけです。”

 

しかしながらこの事実は認知行動療法の多くでは、ほとんど無視されているというのが実情です。

このことは一昔前に、一世を風靡したポジティブシンキングという張りぼて療法のそれに非常に良く似ています。

認知行動療法は過剰評価されている

あとは、テレビとかでも「認知行動療法が良い」、「暴露療法(行動)療法が良い」というような話とか、そこまでたくさんとは言わないかとは思いますけれども、最近、結構、耳にしたり目にしたりするようになってきてるんですよね。

だからこそ、強迫性障害を克服するのに、認知行動療法が根本解決になるというような話がチラホラとネット上でも騒がれるようになったわけです。

しかしながら実際問題、強迫性障害を克服する上でこの認知行動療法というモノは本当に根本的な解決を提供できるような克服の方法では全くないというのが真実になるわけなんですね。

認知行動療法は強迫性障害の根本解決にはまずならない

ここのところを勘違いしない方が、過去の私のように、無駄な遠回りをしないためにも克服する上で非常に大切だという風に私は感じている次第であります。

✅とにかく強迫性障害を克服する上で重要なのは強迫性障害の症状というのは脳の機能によって作られている、生み出されているということを腹の底から理解すること、認識することです。


(↑脳の機能と心の関係はプリズムに入射する光で考えるとわかりやすい。屈折率を脳の機能とみなし、入射後の光の色を心もしくは性格と理解するとよくわかる。あるいは関数で考えてもよく理解できます。)

これが、全ての全てなんですね。


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結局、人間の認知、性格、考え方というものは、脳の機能によって生み出された現象に過ぎず、強迫性障害の症状もまた脳の機能によって自動生成されているという事に過ぎない
わけです。

ですから、認知療法と行動療法を併用した認知行動療法を試みてみても一定の成果しか上がらないことが非常に多いわけです。

脳の機能が神経症という気質を直接的に生み出しているからです。

強迫性障害を克服する上で気質へメスを入れる必要がある

この認知行動療法では、いわゆる気質という部分まで、メスを入れる事というのはできないわけで、そういった中で認知行動療法を行って認知を修正する、あるいはその行動を修正するというのは一定のレベルまでしかできないというのが事実になるわけなんですね。

結局、その先、源流にあるのが脳の機能であるわけで、先天的な傾向として強迫性障害にかかっている方が抱えている遺伝的なその脳の機能傾向があり、これが大本の原因になっているわけです。

その遺伝傾向を認知行動療法とか認知療法あるいは行動療法を行うことによって改善していくというのは、ほぼほぼ不可能という話になります。
微弱な緩和になることはあるかもしれませんが、根本解決にはまずならないというわけです。

認知行動療法が主役に決してなれない理由:

卑近な例を出すとわかりやすいです。

たとえば、

“白人が黒人に認知行動療法を行うことによってなるのかあるいは黒人が白人に認知行動療法を行うことによってなるのか、そういう物理的な変化が実際に起こるのかっていうふうに考えてみると、こういう卑近な例を出して考えてみるとそれは絶対に起こりえない”

ということなどは具体的な物理変化の話になるので、誰もが理解されます。

ところが”性格”や”症状”は目に見えない世界の話になるのと一転し、多くの人は「何か神がかり的な事が起きるのではないか?」とこの種の精神/心理療法に過度の期待をしてしまいがちなのです。

結局、脳の機能というのも物理現象であって、脳内には神経網がありまして、その脳神経間において、脳神経の末梢にある受容体というもののがあるんですけども、そこでは神経伝達物質がバンバンとんでいて、それを受容体がキャッチして情報の伝達を行っています。

このように、神経伝達物質でのやりとりと、脳神経内での電気信号でのやり取りというのを、脳は行っているわけで、それによって我々の感情と言われものが生じているわけです。

その電気情報と化学情報でのやりとりを総合させた結果、先ほどお話しさせていただいた気質、性格というものが生まれてるわけなんですよ。

そして、
脳神経間における情報伝達というものはすべて“物理的なもの”です。

精神療法、心理療法の類で、ドラマチックな物理的変化を起こすことはできません。(≒先ほどお話しした黒人が白人になったり白人が黒人になったり認知行動療法を受けて変化しないのと同じ話)

脳の機能に介入する方法が根本的な克服法

そういうわけで、何よりまず先にあるのが脳の機能いうことであって、認知行動療法ではその脳の機能が強迫性障害の症状を産み出しているという事実をあまり着目できていないような治療法になるのであって、結果的に、根本的な強迫性障害の克服法には、なり得ないっていうことですね。

あくまでも一時的なサポート、補助というような位置づけになるわけですね。

今回は強迫性障害を克服する上で認知行動療法というものがどのような役割を果たすのか、どのような位置づけになるものであるのか、ということについてお話しさせていただきました。

認知行動療法(CBT)は脳の機能が認知を作るという真っ当な事実を無視しすぎている嫌いがあるのです。


下:考え方/行動を意識的に変えてみる認知行動療法的アプローチは脳の機能に影響を与えますが、微弱すぎます。

上:脳の機能から考え方/行動を変える方法は強力に作用するのです。

まとめ

まとめますと、強迫性障害を克服する上で認知行動療法はサポートもしくは補助としての役割を果たすということになるわけであります。

したがって、「認知行動療法だけで強迫性障害が克服できる」ということは、まず可能性としてかなり低いというのが実情になります。

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