(最終更新日:2023/09/26)
簡単に説明すると”脳のメモ帳機能のようなもの”です。強迫性障害の人ではこのワーキングメモリ(作業記憶)の機能が低下しているということが学術的に報告されています。[1]
ワーキングメモリの機能の具体例
Contents
例えば、
⑴「自分の家で2階に本を取りに行こう」とあなたが今、思ったします。
その時、まず、あなたは頭の中に「○○という本を取りに行こう」と脳のメモ帳(ワーキングメモリ)に書き込みをしています。
(意識するしないに関わらず。決意しした時点で。)
⑵そして、“あなたは階段を上りながら本を取りに行く”という記憶を忘れずに(≒ワーキングメモリの記憶を保持しながら)、実際に2階に行き、無事、2階からその本をとってくることができるのです。
少しわかりづらい方は以下の説明をお読みください。↓↓↓↓↓↓↓↓
しかし、
*ワーキングメモリが極度に機能低下した状態ですと、
「2階に置いてある本を取りに行こう!」(≒ワーキングメモリに書き込みをする)と思って階段を上って、(≒ワーキングメモリ上の記憶を保持しながら)2階に行ったはいいが、
「何をしに2階に来たのかわからない」(≒ワーキングメモリ上の記憶の消失、失念)といようなことが起きてしまうのです。
(≒ワーキングメモリに書き込んだ記憶(2階に本を取りに行く)が消えてしまった。これはワーキングメモリの機能低下で起きやすい症状です)
傍から見れば喜劇のようで滑稽ですが、専門にはこのような状態を実行機能障害と形容し、実行機能障害にはワーキングメモリの機能低下が密接に関与します。(すぐ下で説明しますが、ざっくり言うと、“ワーキングメモリが機能低下すると集中力が顕著に低下します”)
●ワーキングメモリの機能が高い=集中力が高い
●ワーキングメモリの機能が低い=集中力が低い
🔳“集中力とは、不要な情報を遮断する能力のこと”をいいます。
(↑このことを理解している人は多そうでほとんといません)
ワーキングメモリが機能低下すると以下のような症状が現出します
***ワーキングメモリが低下すると起きること***
逆にワーキングメモリの機能が正常であると、
🔳ワーキングメモリが機能低下すると、気持ちの切り替えや頭の回転が遅くなります。一般的に、強迫性障害のような人の場合、ワーキングメモリの機能が低下しているケースが非常に多いと報告されています。
気持ちの切り替え、頭の切り替えが下手だからこそ、強迫観念に捉われるわけです。
🔳ワーキングメモリが低下すると、集中力に支障をきたします。ですので、例えば、誰しも自分の視界に自分の鼻の頭が映っていますが、ワーキングメモリの機能が著しく低下した人では、自分の視界に映る”鼻の頭という不要な情報”までも拾ってきてしまい、鼻の頭が常に気になり、よって物事に集中することが困難になります。
あるいは、雑音や人の視線が気になり集中できない、ということも起きがちになります。
ワーキングメモリが低下している人ではこのように集中する能力が非常に弱体化してしまっており、集中力が弱いということは、感情のコントロールも不得手ということを暗に意味します。
(集中力が感情をコントロールする力です)
🔳ワーキングメモリに問題を抱えると、さらには文脈の理解、
逆に、ワーキングメモリの機能が高まると、
🔳ワーキングメモリが低下すると、同時に複数のことを行うマルチタス
🔳ワーキングメモリが低下すると、物事を即断する能力、
したがって、気持ちの切り替えの問題も発生します。
🔳注意力が分散してしまうので、集中力が低下し、仕事上のケアレスミスが非常に多くなります。
↑本記事を解説しました。
逆にワーキングメモリの機能が強化されると、どうなるか?
✅実際に、ワーキングメモリの機能を強化する方法を取ってから、
以前は、結果を推測せずに行動し、
物事の記憶、習得も格段と早くなったことも実感しています。
(ちなみに、ワーキングメモリは先天的なモノであるという話がありますが、100%嘘です。私が保証します。
私の実感として、ワーキングメモリは筋肉と同じように鍛えれば発達し、怠ければ低下する類の進捗性、退歩性が明確に分かるモノです。)
このように、ワーキングメモリーの機能が強化されると思考、感情の切り替えが”明確に”迅速化するわけです。
(トロッコ問題のような心理実験を素直に受けると、
強迫性障害にワーキングメモリが関わるのは確かだが、そこまで気にする必要はない
強迫性障害の人の脳で起きているワーキングメモリの機能自体は脳の障害というほど大きな問題では
繰り返しになりますが、
思考、考えを無理なくスパスパ流すことができていれば、強迫観念に捕捉されることなど起きようがないためです。
過去の私は嫌なことがあると数か月でも半年でもそのことをずっと忘れずに、そのことで怒ったり、気に病んで
ワーキングメモリを強化する方法
ワーキングメモリを強化するには、
〇高強度インターバル運動(ダッシュとゆっくりジョギングを交互に繰り返す)
〇下半身の筋肉を鍛える筋トレ(下半身の筋肉を鍛えると最も効率的にBDNFという脳内の最も重要な神経栄養因子の分泌を促すことが可能になり、BDNFの上昇はワーキングメモリーの機能を強力に強化する)
〇マインドフルネス瞑想(座禅、瞑想またはハタヨガのような動的瞑想)
〇ゲーム性(ルール)のあるスポーツ(例えばサッカー、バスケ等の球技)
〇囲碁や将棋、チェス等の知的スポーツ
〇数学、物理、言語の学習
〇ピアノ、ギター、ドラム等のマルチタスクが要求される楽器の演奏
〇極度の集中力が要求される(≒他人の心を読む必要がある)ビデオゲーム(FPS、格闘ゲーム(対人戦)等)
などが有効です。
また、当然ながら
サプリメントやクスリの摂取も非常に効果的です。
巷で言われるN-back課題(下記動画)ですとか、記憶の再現法なども一定の効果はあります。
N-back課題はアプリ(携帯およびPC)があるので訓練してみると良いでしょう。
(やってみるとわかるかと思いますが、N-back課題が効果がないというのはデマです。ものすごく集中力を要求されます)
話をまとめますが、
✅さいわいワーキングメモリに密接に関わる前頭葉、前部帯状回は他の脳部位とは異なり可塑性(かそせい)に富んでいるので、“鍛えることがより容易に可能”なのです。
(ワーキングメモリは先天的なモノなので鍛えることは出来ないという話は間違いです。私の経験談だけではなく、私の顧客の体験から断言することが可能です)
強迫性障害で悩んでいる人はぜひその強化法を試されてみてください。
克服もよりスムーズに行くようになるはずです。
ワーキングメモリを鍛えると集中力がつく
ワーキングメモリを鍛えると集中力がつきます。
強迫性障害の人は集中力が低いです。ワーキングメモリの機能が低下しているからです。
しかし、ここから逆算して考えれば、ソリューションは誰にでも思い浮かぶでしょう。ワーキングメモリを鍛えて、集中力をつければよいのです。
そうすれば、強迫性障害は改善しますし、克服・完治も十分に可能であるという算段です。
(参考文献:)
[1]:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022395608002458