強迫性障害を克服する考え方【まとめ】
強迫性障害を克服するのに有効な考え方は、「脳の機能が症状を産んでいる」という事実を頭に入れて、それを自分自身に言い聞かせるという作業です。
そして、
「強迫性障害は自分の性格の問題ではないということ」、
「気が触れてしまったわけではないということ」、
「単純に脳の機能障害によって、わけのわからぬ強迫観念に取りつかれているのだということ」
を認識することが大切です。
強迫観念に捉われて苦しいときは、「この強迫観念は自分自身の脳が作り上げた現象に過ぎない」と言い聞かせるといいのです。これだけで、当事者の気持ちはすごく楽になります。これが強迫性障害を克服するための、あえて自分でできる考え方または思考法なのです。
強迫性障害の克服に考え方はあまり関係しないが、緩和には間違いなくつながる
考え方は、脳の機能によって自動生成されているので、あまり強迫性障害の克服において関係は実はありません。しかしながら、以下、各々の恐怖の対象に沿った対策法を掲示します。以下の文言を自分に言い聞かせるようにすると効果的です。症状は緩和されていくはずです。
このような自分への言い聞かせは、多少は考え方にも影響を与えることができるからです。また、問題を言語化することで、メタ認知※することにもつながります。
強迫性障害の加害恐怖を克服する考え方
〇誰かを傷つけてしまうのではないか?
↓
〇むしろ傷つけてしまうのではないかと自己モニタリングできている人は他人を傷つけることはまずないから安心だ。
汚染恐怖を克服
〇汚いものに触ったから、病気に感染したのではないか?
↓
〇昔の時代は今のように衛生管理は行き届いていなかった。にもかかわらず、ほとんど誰一人として、それでも病気などの感染率はそこまで高くはなかった。だから、今ほど衛生が行き届いた時代に汚染恐怖などに悩む必要など一切ない。
そもそも人間の体自体が極めて不潔なモノなのだから、その人間である私がそんな不合理なことを考える必要は一切ない。
縁起恐怖を克服
〇4という数字がつく部屋や席にいると不幸が起こりそうで気が気ではいられなくなる。
↓
〇実際に、4という数字がつく部屋や席にいて、自分が想像するような不幸が起きた人はいない。むしろ幸せ、幸運が巡ってきている人の方が遥かに多い。縁起と不幸は直接的因果関係は一切なく、縁起の悪い数字、事物、モノを選んで逆に幸福を手にした人も山ほどいる。
不完全恐怖を克服する考え方
〇ものを並べるときに左右対称でないと気が済まずに左右対称に並べる作業を1時間も2時間も続けてしまう。
↓
〇そもそも自然界に完全な左右対称なモノは存在せず、多少の非対称性(アシンメトリー)がないと逆に不自然で不気味であるというのが事実である。つまり、「ゆらぎ」「多少の遊び」がないと不自然で逆に変だということ。
だから、ある程度こだわりもほどほどにしておこう!
疾病恐怖を克服
「最近、体の調子がすぐれないから病気にかかったのではないか?」
↓
「病気にかかったのが心配なのはわかるが、本当に重い病気にかかっていれば、今頃、病院へ搬送されているわけで、今こうしてのんきに考え事ができるのは健康な証拠だ。本当に調子が悪いのであれば医者を受診すればいい。」
儀式強迫対策
「外出する際はガスの元締めを5回、家の鍵がかかっているかどうかの確認を5回は行わないと、外出できない」
↓
「(もし、家がコンクリート建築の場合)火事など起きようがない。木造建築でもガスの元締めをしていて、鍵もきちんとかけてそれを十分に確認しているのだから、安心だ。」
各々のケースにあった対処を行う
このように、特定の強迫観念が起きたら自分自身に以上のような文言を言い聞かせるようにしていきます。こういった作業を続けていくと、強迫性障害の症状は多少は緩和していきます。考え方の修正で完全に克服できるということはまずありませんが、多少の緩和、改善にはつながっていきます。
したがって、このような自分への言い聞かせは、強迫性障害の克服において役に立つのは事実です。
強迫性障害を克服する最重要事項
そして、強迫性障害は脳の機能の問題であって、一切、自分自身の性格や心の問題ではないという冒頭で述べて最重要事項をどんな時も忘れないでください。このことを頭に入れているだけで強迫性障害の渦中にある人も気がだいぶ楽になっていくはずです。
実際に過去の私がそうでした。
強迫観念に強く捉われそうになったときは、「この考え、想念は自分の脳が作り上げて幻想にすぎない」と言い聞かせていました。そして、実際に効果があがっていました。
メタ認知※できていたのだと思います。
(※自分の状態を客観的に理解すること)
強迫性障害を考え方を変えて克服するというのはあくまでも気休め
ハッキリ言うと、強迫性障害は考え方の問題ではなく脳の問題なので、意図的に考え方を正すことで克服できるものでは一切ありません。
しかしながら、気休め程度の緩和にはなります。気休め程度の緩和でも当事者の苦しみを少しでもなくすことにはつながるので克服の道程において役には立ちます。
(結論)
強迫性障害を克服するのに役立つ考え方は「強迫性障害は脳の機能が産んでいる」という事実を認識すること1点のみ。
考え方の修正は、あくまでも緩和、改善程度にしかならないが、この事実を頭に入れることで、当事者の気持ちは大分楽になっていくのは確か。
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