強迫性障害で不謹慎な考え、言葉が浮かぶ人へ【対策】

強迫性障害で不謹慎な考え、言葉が浮かぶ人へ【対策】

 

✅強迫性障害で不謹慎な考えや言葉が頭に浮かんできて、それに四六時中苦しめられている方は多いです。

(強迫性障害の人はもともと罪の意識を人一倍感じやすい傾向にあるためこのような結果となります)

 

——強迫性障害の人が不謹慎な考え、言葉が生じやすいのは荘厳で厳粛な態度が要求される神社、仏閣、教会、葬儀場または嫌われたくない自分にとって重要な人と一緒にいるとき等が多いと経験則的に報告されています。——

 

強迫性障害の中の分類としては、この不謹慎な言葉が頭に浮かび悩み苦しむという方は、加害恐怖の方に特に多い傾向にあります。(縁起恐怖(神罰恐怖、仏罰恐怖等)でも発生します)

不謹慎な考えが頭に浮かぶというのは、”思っていないこと”または”思いもしたくないこと”(往々にして不謹慎かつ不道徳、罰当たりなこと)を思ってしまうという風なニュアンスで捉えられるとわかりやすいです。

さらに噛み砕いて言うと「社会の(禁忌)タブー)が頭に浮かび、それに延々と捉われ異常なほどの罪の意識を覚え、懺悔してしまう」というとさらに多くの人が理解されると存じます。

このことに関しては、本文中に例を挙げて解説します。

加害恐怖とは

加害恐怖とは、

■「他人に危害を加えてしまうのではないか?」もしくは
■「既に加えてしまったのではないか?」
■「誰かを自分の言葉で傷つけてしまったのではないか?」
■「その場にふさわしくないような不謹慎なことを今自分は考えてしまっている。自分は最低の人間だ!」

 

・・・・・・などと自分が行っている(考えている)一挙手一投足に強烈な罪悪感を覚える人(覚えやすい人)のことを指します。

加害恐怖は強迫性障害の一種です。

関連記事:
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強迫性障害の加害恐怖を克服するコツ
【加害恐怖】車の運転を克服する方法【強迫性障害】

縁起恐怖(神罰恐怖、仏罰恐怖)とは?

縁起恐怖とは、

 

強迫性障害の一種で、神や仏の罰を極度に恐れる縁起的なモノに過度に捉われ不安をつのり過度に苦しい心理状態へ追い込まれ続ける心理状況を指します。

上の例で言えば、神社や仏閣の中で罰当たりな考えがふと浮かび、「自分に天罰が下るのではないか?」と四六時中、本人は本気で悩み続けます。

このタイプの人は信心深くかつ潔癖な性格の方に多いです。

 

本件の問題に関しては、縁起恐怖による懺悔強迫や不道徳強迫であるケースも少なくありません。

縁起を信じる人は神仏や悪魔、霊の存在を信じやすく、そうした存在に対して罰当たりなことを考えてはいけないなどという思考に傾倒しがちだからです。

 

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なぜ、強迫性障害の人の頭に不謹慎な言葉が浮かぶのか?

 

✅そもそも、誰しもその場には似つかわしくないような不謹慎な考えを時折、ふと思い浮かべることはあります。

 

これは一般の健康な人も一緒の話です。

 

しかしながら、

強迫性障害の方はその性質上、“細かいことが過度に気になる”という特性、同時に“罪悪感を人一倍感じやすい特性”を持っているために、

通常、普通の人であれば誰も罪悪感すら覚えないような些細な事柄を悩みとして受け取り、その良心の呵責に苦しめられるという、俗に言う、負のスパイラルに巻き込まれています。

 

ある方は他人の葬儀に参列した際に「ざまあみろ」という加害恐怖による強迫観念(=不謹慎な考え)が意味もなく浮かび、痛烈に苦しめられたと言います。
(亡くなった方のことをその方は嫌っていたわけでは、一切ありません。親友だったそうです)

「何故、こうしたアンビバレントでおかしな現象が発生するのか?」心理的、脳機能的に以下で解説します。

禁止されるほどやりたくなるのが人の性

実は、
禁止されれば禁止されるほどそのことをやりたくなるのが人間の特性
です。

これは私の他のブログでも言っていることなのですが、

 

「宝箱を開けるな!」といわれると

逆に、

「宝箱を開けたくなる」

 

のが人間の特性なのです。

これはカリギュラ効果と呼ばれる心理現象なのですが、何もこうしたもっともらしい心理学用語で呼称するまでもなく、日常的に誰しも経験知的に理解していることだと思います。

(例:①小さな子供に「泣くな」というと余計「泣く」。

②大人でも「笑ってはいけない」と言われると余計「笑いたくなる」。)

これはとどのつまり、

 

✅自分の中に「禁止」「禁忌」事項が多ければ多い程、その人はその「禁止」「禁忌」事項に苦しめられる(やすい)ことを意味します。

不真面目なヒャッハー人間が物事に罪悪感を感じづらいのは、自分の中の「禁止」「禁忌」事項が少ないためです。

対照的に、

この自分の中の「禁止」「禁忌」事項が異常なほどに多いのが生真面目な強迫性障害の人たちであり、それがより端的なのが加害恐怖、縁起恐怖に特に苦しめられる方なわけです。

 

以上が、人間心理的解説になります。


↑そのメカニズムを図にしたモノ

 

脳機能的にこの現象を説明すると、

脳は「肯定文」も「否定文」も区別せずに連想するという仕組みを持っています。

例えば、「不幸になればいい」と「不幸にならなければいい」という文言は共に「不幸」をまず初めに脳に連想させます。

 

「不幸にならなければいい」というのはポジティブな内容ではありますが、「不幸」という言葉が出た時点で脳は「不幸」というネガティブなイメージを先に連想してしまっているわけで、
先に連想したイメージの影響をダイレクトに受けることになります。

 

加えて、ある考えを禁止、抑制することは実は該当ニューロン(禁止したい考えを連想した時に亢進する脳部位)を発火させ続ける行為に他なりません。

 

禁止、抑制(No Go)を担当する脳部位のすぐ近くに奨励、促進(Go)を担当する脳部位があり、一般に隣接する脳部位は極めて相関性が高いです。

よって互いの活動を促進しやすいという傾向がありますので、禁止、抑制すると奨励、促進側のニューロンまで活性化されてしまう(いやすい)というメカニズムです。

 

以上が、脳機能的な解説になります。

解決策

以下、解決策になります。

よく「強迫性障害をやめるには考え方のクセを取ればいい」等という精神論が跋扈していますが、考え方のクセというモノはそもそも脳の機能によって示現した現象です。

 

 

✅強迫性障害の人はそもそもの話、
「強迫性障害脳」
になっています。

この場では、
いわゆる不謹慎な考えが極めて思い浮かびやすい脳の状態です。

よって、それに苦しめられる
強迫性障害の加害恐怖または縁起恐怖の方というのは、そもそもの話、(不謹慎な)考えが頭に思い浮かびやすい脳の状態になっているということです。

 

 

 

✅だから、(不謹慎な)考えが頭に浮かび苦しんでいる強迫性障害の人がその問題を根本解決するには、

そもそも(不謹慎な)考えが浮かびづらい脳の状態を作り上げてしまえば良いということになります。

 

↑上の動画は私が作成したモノなのですが、そのことを詳しく解説しています。

今の強迫性障害の克服法各種はこの大前提を無視してしまっている傾向が非常に強いです。

 

“考え方のクセ”というモノが存在するのではなく
“そういうことを考えやすい脳の機能の状態”が存在し、

「それがそのような考え方(≒強迫観念)を現象化させている」というのがファクトです。

 

コラム:
例えば、ネガティブで暗い人にポジティブで明るいことを考えるクセをつけると良いよといってもネガティブな人というのは暗く悲観的なことを考えやすい脳の機能状態になっていますので、そのアドバイスは徒労に終わります。 ネガティブで暗い人は暗い考え方の習慣が身についたからネガティブで暗いのではなく、脳の機能が性格的にネガティブひいては暗くするような状態になっているためにそうなっているわけです。 (ここを勘違いしている人が非常に多いので注意深くお読みになられて下さい)

具体的手法【対策】

具体的な解決手法は、

食事、運動、サプリメント、生活習慣の改善、場合によってはクスリです。(⚠こんな方法で解決したら誰も苦労しないという固定観念は一度捨てられることをおススメします)

これらの事項ひとつひとつをこの記事に網羅していくと、さらに長文となってしまいますので下記の私が既述したブログ関連記事を逐次参照ください。

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

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結論

強迫性障害で不謹慎なことや言葉が頭に浮かびそれに苦しめられているという方は加害恐怖、縁起恐怖である公算が大きいです。

 

✅その解決策は精神論的手法では一切なく、
「強迫性障害脳いわゆる観念、雑念、考えが浮かびやすい脳の状態」を「観念、雑念、考えが浮かびづらい脳の状態」に変えてしまうそういう訓練を総合的に実行していくこととなります。

 

 

「そんなことが本当に可能なのか?」と思われる方が多いと存じますが、人間の脳は筋肉のようなモノでトレーニングと適切な栄養で機能を強化していくことが可能な可塑性に富んだモノなのです。

例えばですが、ピアノ経験のない人が毎日集中的にピアノレッスンを開始し、中長期でそれを継続すれば、その開始した年齢を問わず、傍目にはセミプロと思えるような次元まで到達することが可能なのと全く同じ話です。

このように、何事も常識に捉われないのが、強迫性障害を自力で克服するのに極めて重要な秘訣となります。

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(参考文献))
Understanding Religious OCD
Obsessive-compulsive disorder (OCD)
The Role of Religiosity and Guilt in Symptomatology and Outcome of Obsessive Compulsive Disorder